次の画像が現れたとたん、心臓がどくんと大きな音を立てる。息が止まる。

 夕焼けに染まった髪。長い睫毛に、透明感のある瞳。筋の整った鼻と品のある唇。

 どこか遠くを見つめる湊くんの横顔だった。

 結局のところ、瀬崎さんとはどういう関係なのだろう。

 2人で会う約束をするくらい親密な仲なのかな。


「あ、今さ、湊くんかっこいいーって思った?」

「な、なに言って……!」


 隠しきれない紅色の顔を上げる。反論しようと思っていた。

 だけど、すぐ目と鼻の先に下津くんの目があって、声が呑み込まれる。

 近すぎる体から離れようとした。飛び上がるカエルのように。夢中になって、これほど接近していたことに気付かなかったなんて。

 それなのに、遠去かるどころかぐっと腰を寄せられて、下津くんの胸へ顔が埋もれた。

 ぐわんと電車が揺れて、カーブの遠心力でさらに体を押し付けている。

 む、む、無理! 一歩間違えたら、抱き着いているように見える。


「ご、ごめんなさい! 今のは、事故なんです!」