それから、1カ月程、経過し、すっかり忘れていた。
 
 仕事が終わり、マンションに帰った時、声をかけられた。
 知らない人だった。
「あの、新生会総合病院の岩田先生ですか?」
「はい、そうです。」
「私、『RIKU』のマネージャーの千石と申します。」
「あー、あの俳優の・・・。」
「先日は、助けていただいたのに、お礼もせず、申し訳ありませんでした。」
「気にしないでください。お身体は大丈夫ですか?」
「はい、おかげさまで、元気にしております。」
「よかったです。」
「それで、本人が、あなたにお礼を言いたいそうなので、部屋きていただけますか?
本人が、先生が帰宅するのをここで待つわけにはいかず、私が待っていた次第でございます。」
「あー、はい。そんなんいいですけど。」
「よろしくお願いいたします。」
「はい。」
マネージャーについていった。