「那智お留守番ありがとな。じーちゃんいっぱい買い物してきたぞ」

なんとも言えないタイミングで室木さんが話に入ってきた。確かに両手に買い物袋を抱えていて重そうにしていたけど、普通話しかけないじゃんここ。

「じーちゃん…空気読んでよ」

那智くんの目がすっと据わる。こわいこわいこわい、いくら可愛い顔をしている子でもやっぱりこういう一面もあるらしい。

「ん?なんのことだ?」

頭のど真ん中からひょーんと寝癖を立てながら言う室木さん。

さっきまではなかったから、朝かなんかに水で濡らしておいたのが出てきちゃったのかな、と思うと笑そうになった。

もうどうしようもなくて、那智くんと私は顔を見合わせてぷっと吹き出した。

このとき、たぶん本当の天然は室木さんなんじゃないかな、って思った。