「なあ!」

「はいっ!?」
 
なにがどうしてこうなったのか。
いきなりの壁ドン姿勢。
真剣に私を見つめる彼に怖くなり……。

「え、えっと。……あ!」
 
しゃがんで彼の壁に突かれた腕をくぐり、逃走を図ってみたんだけど……。

「ちょっと待て!」

「ぐぇっ」
 
彼の手が逃げる私より早く、パーカーのフードを掴む。
おかげで少し、首が絞まった。

「なんで逃げる!?」

「な、なんか怖いから……」
 
はぁっ、
ため息をついた彼が掴んだままだったフードを思いっきり引っ張った。
おかげで彼の腕の中に飛び込む羽目に。

「逃げんな。
逃げられたら傷つく」

「……ごめん」

近づいてきた彼の唇が私の口を塞ぐ。
驚いたのは一瞬で、私は彼に身を任せてた。

「好きなんだ、おまえが」