「もうちょっとでできるから。
テーブルの上、片付けてー」

「はーい」

家の中はいい匂いでいっぱい。
キッチンに立ってる、エプロン姿の彼。
たまに気が向くとこうやって、私に手料理を振る舞ってくれる。

「おいしそう!」

「このあいだ、ネット見ながら食べてみたいって言ってただろ?」

「ありがとー!」

私の前には苺がいっぱい載ったパンケーキ。
チョコソースもかかってるし、生クリームもちゃんと山盛りでカロリーは気になるが、……気にしない方向で。

「おいしー!」

レンズの向こうの、彼の瞳が嬉しそうに細くなる。
その顔に毎回ドキドキしてる私って、どうなの?とか思う。

「ソースついてるぞ」

口端を拭う彼の手に、ただ黙って次の一口を口に運んだ。