もうすぐクリスマス。
彼と付き合い始めて初めてのクリスマス。
……なのに。

「クリスマスは仕事です。
二十三日は忘年会。
二十六日は取引先の付き合い」

社会人の彼。
忙しいのはわかってる。
クリスマス、一緒に過ごしたいっていうのも、子供っぽい私の我が儘だってことも。

「……いい。
私もバイト、入れるから」

……はぁーっ。
俯いたあたまの上にため息の音。
そんなに呆れることですか? 

「ちゃんと俺の話、聞いてた?」

「……聞いてたよ。
クリスマス、仕事だって」

「そう。
クリスマス“は”仕事」

「……繰り返さなくていい。
余計にへこむから」

「莫迦か、おまえは。
クリスマスは仕事。
クリスマスイブは何日だ?」

「……二十……四……日」

思わず顔を上げると、困ったように笑う彼。

「イブの夜は空けてる。
残業も断る。
……なんか文句、ある?」

嬉しくて抱きついたら、唇が重なった。