「くっそー、三上の奴!
なにかと私を目の敵にして!」

「まあまあ、落ち着け」

グラスの酒を一気に空ける。

……今度の企画。
初めて私の案が採用された。
そりゃ嬉しいし、いつも以上に頑張ってるよ?
なのに営業の三上はなにが気に食わないのか、なにかと文句を言ってくる。

「ほんとむかつく!
あいつ!
……おじさーん、おかわりー」

「誰がむかつくって?
……飲み過ぎじゃないのか?」

「……三上」

誰が呼んだのか。
涼しい顔して立っている三上に、上げたグラスを止められた。

「……こんなとこまで、あんたに文句いわれる筋合いない」

「……はぁーっ。
俺はおまえを認めてるから、心配なんだ。
……とか言ったら怒る?」

「……え?」

銀縁眼鏡の奥から見つめる瞳に、なにも言えなくなった。