「おまえさっき、誰といっしょだったの?」

「え?」

会社帰りの待ち合わせ。
同僚と近くまで一緒だったんだけど。
待っていた彼の機嫌はなぜか悪い。

「誰、あれ?」

「同僚。
彼女へのプレゼント、相談されてた」

「嘘だね。
あいつ、おまえのこと、すっげー見てたし」

「嘘じゃないって!
ほんとに彼、彼女いるし!」

「煩い。
おまえは俺のものだって、見えるところに印付けとかないとな」

強引に手を引っ張られて抱き寄せられた。
なにをするのかと思った瞬間、彼は私の首筋に……噛みついた。

「……いたっ」

「……」

やっと彼が離れて鏡で確認したら、うっすらと血の滲んだ噛み痕。

「また誰かにめーつけられたら、こうやって印付けるから」

にやりと笑う彼に、体中が熱くなった。