「でも・・・懐かしい・・・」
あの頃はつらかったのに。
もっと苦しかったのに。
それでも一緒にいられることが心強くて、それだけを希望にしていた。

咲は玲の背中に回している手に力を込める。

「もう離れない。一緒にいる。これは俺たちのはじまりだ。ここからまた、始めよう。」
玲の言葉に、咲の中で残っていた迷いは消えた。

「一緒に。ずっと?」
「そう。ずっと。」
少しの時間二人は抱きしめあった。

そして、「よし、もうひと踏ん張りしてこい!」と玲が咲の背中を押したのだった。