「咲に社長室で待っていてくれる?」
「承知しました。」
咲は途中、営業一課で定年退職をする課長と話をしようと玲と真岸に咲に社長室へ向かうことを伝えた。

玲と真岸は先に社長室に向かう。

「その窓から、お嬢様はいつも外を見ていました。つらい時、うれしい時、庭園の東屋から空を見たり、会社ではその窓の前に立って外を見ていました。」
真岸が社長室に入ると玲に言う。
玲はその窓の前に立った。

「ずっと待っていたんですね。お嬢様は、宗川さんを。」
それ以上言葉はいらなかった。

玲は窓から景色を見ながら唇をかみしめる。