「―!…やじゃないっ!!」 口をついた言葉は叫びになっていて、 急に離された手のひらは、とたんに冷たい空気に晒された気がした。 ツキトの手のひらは、優しくぬくい。 それは、『ぬくい』という表現がぴったりで、 偶然を装って、平気なふりをして触れたあの人の手のひらは、熱かった。 それはきっと、あたしの緊張のせいだ。 肩肘なんて張らずに、あたしもツキトもきっと、接しられている証拠なんだろう。 .