ストレートで、黒い色の長い髪の毛が自慢だった。
『綺麗な髪。さらさらじゃん。』
あの人がふんわり、あたしの髪に触れてくれたから。
でももう、あたしにはそんなもの、必要ない。
だから、茶色く染めた髪の毛に、緩いパーマをかけた。
人混みに紛れてしまえば、あの人はあたしには気がつかない。
いや、例え人混みじゃなくても、髪の色を変えなくても、きっとあの人はあたしには気がつかない。
いつもいつも、あの人の視線は、あたしを通り越して違う誰かを、眺めていたから。
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