自分が履いている、黒いハイヒールのつま先を、意味もなく眺めた。 「逃亡犯、めーっけ。」 顔を上げると、ツキトの姿があった。 ぽかんとするあたしに、 「待ってて。って言ったのに、ひどいなぁもう。」 あたしの隣に『よいしょ』座りながら、あたしをのぞき込んだ。 ふんわり香った、甘いコロン。 「…で?何か俺に言いたそうなカオしてるけど?」 丸く、クリクリした大きな瞳があたしを見ている。 .