言われた通りに、呼吸を繰り返せば、少しずつくらくらする頭が正常に戻ってゆく。
そんなあたしを眺めていたその人は、
「ちょっと待ってて?逃げちゃダメだからね。」
あたしの頭にぽんと手のひらを乗せて、真っ直ぐ公園の出口へ歩いていった。
抱き留められた……。
具合が悪くて俯いていたら、あたしなんかでも気にかけてくれる人はいるんだ…。
いつも誰かの。
ううん。違う。
いつもあの人の好きな相手の身代わりだった、あたしなんかでも…。
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