「―あぶないっ!」 何が起こったのか、解らなかった。 目の前の景色がぐにゃりと歪んだ。 頭の芯が、きーんとして、気持ちが悪い。 『危ない』叫んだのが、隣に座っていた人なのかあたし自身なのかすら、わからない。 意識が一瞬途切れて、元に戻ったときには崩れ落ちるようにベンチに座っていた。 あたしを抱き留めてくれているのは、ベンチの隣人。 .