それは、10日前のこと。



仕事が終わって、家に帰ってコートを脱いだタイミングで鳴った、携帯。



「…うそ…」



思わず独りで呟いたのには、理由があった。



もう2度と聞くことがないと思っていた、着信音。



怖いものを見るように携帯を眺めたら、鳴り止んだ。



ゆっくり開いた携帯には、見慣れた名前。



ツキトではない、見慣れた名前…。



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