自販機前に着くと1人の女の子が立っていた。

無言で目が合った。


「「………。」」


あれ!?これって会ったらどうしたらいいんだ!?なんて声かければいいんだっけ!?

まだ名前も知らないのに…!

「あの、もしかして…」

女の子が不安そうにスマホを取り出した。
その画面には127番です!と、パーティ☆チョコレートアプリが開かれていた。

「あ!私もです!私も127番!!」

慌ててスマホを開いて同じように画面を見せた。

2つの番号が揃った。

「あれ、これ下にまだなんか…」

朝開いた時は気付かなかったけど、スクロールしていくとまだページが続いていた。1番下のところに、“マッチング”と書かれたボタンがあった。

「…押してみますか?」

「そうですね、押してみましょう」

せーのっで一緒に押してみた。

次の瞬間、切り替わったページでは“おめでとう!”の文字とマイムマイムのような踊りをする小人たち5人…

これってうちら?

顔は似てないけど、男の子3人女の子2人ってなんかそれっぽくない?
馬渕先輩こんなのも作れるんだ…

「ふっ」

女の子が笑った。

「可愛いですね」

笑ってくれた。

「ですね!」

それが嬉しかった。

「チョコレート交換しましょう!」

「はい!」

相田(あいだ)ひまりちゃん、同じ1年生で隣の隣のクラスの子だった。

初めて話したけど、いい子だった。

私のアイコンを見てメッセージを送ろうと思ってくれたらしい。


そうアイコンを見て!!!


ひまりちゃんも同じ少女漫画読んでるんだって!!!

もうすぐ新刊楽しみだよねって、きっとこれがなかったらこんな話出来なかった。

新しい出会いがあった、発見があった。

ちゃんと参加してよかったな。

諦めないでよかった。



暁先輩に伝えたいな、この気持ち。



楽しかったですって、おもしろかったですって、それと…


私が暁先輩にチョコレートを渡したい気持ちは変わらないから。