それから数日試作を繰り返して馬渕先輩自作“パーティ☆チョコレート”アプリが完成した。

命名はもちろん暁先輩、凛空ちゃんの「出会い系みたいっすね!」の言葉に一瞬空気が淀んだけど花絵先輩の「元々暁のセンスはこんなもんよ」とさらに凍るような言葉で諦めた馬渕先輩が作業を進めたおかげでここまでは順調だった。


街はどんどんチョコレートに溶かされていく、甘い香りとときめく心…




そして2月14日の1週間前、ついにパーティ☆チョコレートがリリースされた。



「ねぇ、寧々も参加しない?」

私の役目はというと、なるべく多くの人にこのアプリに参加してもらえるよう広めること。

生徒専用非公式SNSアプリ“Speaks”の青春リクエスション(公式)からの発言で、見ている人はまぁぼちぼちすでに登録してくれてるけどできるだけ多くの人に参加してほしいし!

「…何それ、怪しくない?」

「怪しくないよ!ほら前に言ったじゃん?青春リクエスションについて、その企画なんだけどね」

移動教室へ向かう途中、スマホを見せながら寧々にプレゼンしてみた。

「Speaksと連動させて前日までに登録した人の中でランダムに2人を結びつけて、その相手と14日の当日チョコレートを交換するっていうお楽しみアプリなの!」

これが馬渕先輩が作った“パーティ☆チョコレート”、ちょっとしたドキドキを味わえてひょっとしたらこれが出会いになるかもしれない高校生活を少しだけ彩ってくれそうなアプリが出来た。

「ふーん…、詳しいんだね」

「え!?ま、まぁね、最近流行ってるしね!」

「“青春リクエスション”ね…」

全然興味なさそうだな。寧々わかりやすくハッキリしてるからなぁ、興味ないものはスパッと切り捨てられる…

「でもこれって渡したい人に渡せないんじゃないの?由夢は野木会長に渡したいんじゃないの?」

「え?」