軽く指をさして、わたしの隣を示す。
こっち……?
って、すごい距離が近くなるよ……っ。
「は、はいっ」
返事をすると、凌玖先輩が席を立ってわたしの隣に座った。
体をこちらに向けて、優しく笑う。
「手、ちょっと見せて」
そう言われて、膝の上に置いてある手を凌玖先輩に見せた。
「こうですか……?」
「うん。手のひらを上に向けて」
指示どおりに上に向けた。
ひらってことは、手相でも見るのかな……?
そんな考えは当たるはずもなく、腕に巻かれたのは……。
「1ヶ月記念日のプレゼント。使ってもらえたら嬉しい」
ピンクゴールドが輝くの腕時計だった。