そのお知らせの看板を見てみると、〝本日貸切〟の文字が並んでいた。
「貸切……?」
「今日は歌桜とふたりきりで過ごしたくて、歌桜のご両親にお願いして貸し切りにしてもらったんだ」
わたしのために……?
それで凌玖先輩が準備してくれて、予約してくれて、ここに来るまでヒミツにしてたんだ……。
こんなサプライズ嬉しすぎるよ。
「どうぞ。中に入って」
ドアを開けて、中へ誘導してくれた。
しぐさも表情も王子様みたいで、まだまだ夢の中にいるみたい。
「いらっしゃいませ〜。本日はお席のご用意がございます。こちらにどうぞ」