「わ……!」



目の前に広がっていたのは、わたしも思い出のつまった大切な場所。



「ここって……!」

「そう。歌桜のご両親が経営してるケーキ屋さんだよ」



にっこりと王子様のような笑顔を見せてくれる。

お母さんこだわりのナチュラルなケーキ屋さんが背景なのもあり、不思議の国にでも来たみたいな気持ちだ。

それくらい凌玖先輩が魅力的に見える。



「ここを選んでくれて嬉しいです。思い出の場所っていうのは、わたしを見つけてくれたからですか……?」

「そうだね。歌桜と出会った場所だから。それと、俺が初めて恋をした場所。

家族にも喜んでもらえたケーキもあるし、俺にとってもいろんな思い出がある」



嬉しい……。

まさに、お母さんとお父さんが届けたい想いだ。