『名前で僕を呼ぶことってそんなに抵抗ある？』


そんな質問…


律君みたいにみんなが呼んでるなら言いやすいけど、年上の、しかも店長を名前で呼ぶなんて。


『すみません、ちょっと抵抗あります。呼び慣れてないので…』


『そっか…残念だな。でも、久しぶりに恋人気分を味わいたいな…なんて思って。寂しい男で情けないよね』


苦笑いのような表情。


『あ、いいえ。情けないなんて思いません。私が慣れてないので…でも…』


『…？』


『そういうことなら…』


不思議だけど、落ち込む速水店長が可愛くみえて、ちょっとだけ頑張ってみようかなと思った。


店長がそれで嬉しいならって。


私でいいのかはわからないけど…


『本当？ありがとう、嬉しいよ。じゃあ、今日は慶太でよろしくね』


そんな嬉しそうな顔されたら逆に申し訳ないよ。


『はい。あ、えと、慶太さん…』


うわ、ＯＫしたものの、本当の彼氏じゃないのに結構緊張する。