速水店長はそのまま店を出て行った。


立ち去る姿がなぜかスローモーションみたいになって…


私はただその背中を黙って見送るしか出来なかった。


心の中では複雑な思いが溢れたけど、私の気持ちはやっぱり変わらなかった。


その時、律君は急に私を後ろから抱きしめた。


『もう誰も見ないで』


耳元にかかる息が私の体を一気に刺激する。


『…うん』


『夢芽は俺のもの』


私を自分の正面に向かせ、顔をすぐ間近で見る。


「絶対に離さない」


その目がそう言ってくれてる気がした。


今、私達はいつもの2人じゃない。


お互いがお互いを必死に求め合って…


気づけば、律君の唇が私に重なってた。


その瞬間、心臓は嘘のように高鳴り、その濃厚なキスにしばらく身を任せた。


私…


律君とキスしてるんだ。


そう思うと体が自然に熱くなった。


あんなに恋愛が怖かったはずなのに…