『それはあくまで俺が天沢グループの息子だからです。例え社長になったとしても、すぐに潰れるようなら意味がありません。父さんは俺をあなたの下につけて修行させたんですよ。父さんがそれほど信頼してるんです。もちろん、追い抜けるよう努力はします。でも…やっぱりあなたは俺の目標です』


必死の律君に、優しい瞳で微笑む店長。


『容姿端麗、頭脳明晰。仕事も出来て、好きな人とも結ばれて、しかも御曹司。おまけに…良い奴とくれば周りに敵無しだな。悔しいけど、律のことは僕だって認めてる。すごい人材だって』


『まだまだです』


律君は首を振った。


『本当は本社に行くのをきっかけに夢芽ちゃんと一緒に居られればって思ってたけど、もうそれは夢物語だね。いつか2人の結婚式、呼んで欲しいな。幸せになってね、夢芽ちゃん。君に出会えて良かった。ずっと君の幸せを祈ってるから』


そんなにも私を大切に思ってくれて…


嬉しい、本当に嬉しい。


『ありがとうございます。本当に店長には感謝しかありません』