『夢芽、泣かないで』


律君はまた…


私を温かな体で抱きしめてくれた。


その胸に顔を埋めたのは何度目?


1度目は突然で、2度目は私の涙を止めるため、そして、3度目の今は…それを私の方が求めてる。


律君に抱きしめて欲しいって、強く強く。


吸い寄せられるように体を委ね、私は自分から律君の腰に腕を回した。


こんな大胆な行動が出来るなんて自分でも驚いてる。


これって…素直になれた証拠?


やっと誰かを求められる自分になれたんだよね。


こんなにも一瞬で変わるんだ…人の気持ちって。


『夢芽…』


『私、律君が好き。本当に好き』


『え…』


『うん。いろいろ考えてしまって、ウジウジ悩んで落ち込んで、ずっと素直になれなかった。でもね、今、私、律君に側にいて欲しいって思えた。どこにも行かないでって。この気持ちに嘘はないよ』