『どうかした?』


『ああ、まあ、そのさ…』


仕事中、あれだけ集中してる人が今はちょっと変だよ。


目が泳いでる?


『律君、やっぱり疲れてるんだよ。今日は早く帰って寝ないと。ずっとずっと頑張り続けてるから休まないと』


私は無理やり会話を終わらせ、帰ろうとした。


あの夜のことを思い出すと顔から火が出そうだったから。


展望台でのこと…


ずっと忘れられなくて。


『だから疲れてない。夢芽さ、今日、速水店長とずいぶん親しく話してたよな…』


『え?』


『いや、だから、別に…深い意味はない』


『ああ、えと、あれはね…』


そう、以前にクレームを言ってたお客様が来てくれて、わざわざあの時の店長の対応を褒めてくれてて…


そのお客様が帰ったあと、そのことが嬉しかったっていう話を2人でしてた。


うん、それだけ。


私はその説明を律君にした。