『朝起きてから夜眠るまでお前が俺の頭の中に出てくる。仕事に集中しないとダメな時でさえも。なあ、この状態、いったいどうしてくれる?』


律君が顔を近づける。


手で触れられるくらいの距離にあるその美しい顔に、ただただ照れてしまう。


『そ、そんなこと。本当に何を言ってるの?冗談やめて、帰るよ』


私はもうこの場にいるのが耐えられなくなって、1歩踏み出してしまった。


きっと、この先の言葉を聞くのが怖いんだ。


『待って!行くな』


律君は、私の腕をギュッと掴んで自分の体に引き寄せた。


『離して』


思わず叫ぶ。


『嫌だ、帰さない。今日は…夢芽と一緒にいたいんだ』


熱い吐息が耳の辺りにかかる。


余りにも甘いセリフに、フラっとよろけそうになった。


『ちょっと、本当に離して。向こうに人もいるし。律君おかしいよ』


『嫌だ、離さない。俺はおかしくないし、真面目に言ってるんだ』