『沙織。みんな、沙織がおれへんなったら寂しいで。それに、夢芽はグチャグチャになんかしてへんで。夢芽が来たおかげで毎日楽しいやん。本当は嫌いになんかなってないんやろ?意地張らんでもいいやんか』


明音はそう言ってくれたけど、沙織ちゃんは首を横に振った。


私のことは…本当に嫌いなんだ。


明音は、それ以上、何も言わなかった。


私も…


沙織ちゃんには何も言えなかった。


そんな権利ないもん、確かに後から入ってきたのは事実なんだから。


沙織ちゃんは、それからすぐに実家に戻っていった。


あっという間に荷物をまとめて。


幸斗も最初は驚いたけど、深く理由は聞かなかった。


結局、律君をここに連れて来たのは私…


幸斗も沙織ちゃんも律君を好きになって、何だかこんなことになってしまって。


私が悪いのかなって思ったりもしたけど、幸斗も明音も…もちろん私を責めたりはしなかった。


沙織ちゃんがいない、3人だけのルームシェア。


まるで何も無かったかのような普通の日常が、当たり前のように動き出した。