クラスにも馴染めて、みんな和気あいあいとするようになった頃、ホームルームで遠足の班の話し合いが始まった。


もちろん、私はいつものメンバー4人組。

遠足と言っても、ほぼ山登りだ。
でも、みんなとだったら、楽しいに違いない。

そう思っていたが、遠足当日、私は熱を出し遠足には行けなかった。

高熱が出た訳ではない。
でも、遠足に行って、増してや山登りでしんどくなったらいけないと、大事をとって休むことにしたのだ。

「あ〜、遠足行きたかったなぁ。」

きっと、みんなで喋りながら楽しくピクニックしてるんだろうなぁ。
想像すると、私は昔のことを思い出していた。

小学校の時、大好きだった男の子と同じ班になれて、修学旅行は、班行動だったのだ。
夜の肝試しも、班で行くことになっていた。
もう、私は嬉しくて嬉しくて、夜も眠れないほどだった。

でも、修学旅行の前日に熱を出し、結局修学旅行には行けなかったのだ。


私には、イベントは合わないのかな?


夕方になって、しんちゃんから電話があった。

「何か欲しいもんないか?」

もう、遠足から帰ってきたようだった。

「うーん、うまい棒のめんたい味10本」

何気なく冗談で言ってみた。

しんちゃんは、
「熱高いの?寝てるん?」
って聞いてきた。

私は、
「至って元気やよ。念の為に休んだだけ。遠足楽しかった?」

しんちゃんは、遠足はそこまで楽しくなかったようだった。

すぐに電話を切った。
普段なら長話になるけど、私の体のことを気遣ってくれたのだろう。


その電話から、10分も経ってないかな?
うちのインターフォンが鳴る。

玄関を開けると、息を切らしたしんちゃんがいた。

「はい、これ」

そう言って渡されたのは、ポカリとうまい棒めんたい味10本だった。

私は大笑いした。
本当に買ってくるとは思ってなかったからた。


とりあえず、しんちゃんを家の中に招待し、テーブルを挟んで遠足の話なんかを聞いた。

しんちゃんは、俺も休めばよかったとボヤいていた。

私のお母さんが、夕飯の準備をし始めた頃、しんちゃんは、帰って行った。