事を終え、啓太はタバコを咥えた。

キィンという音と、オイルの香りが部屋に舞った。

その横でグッタリと女が横たわっている。

「離れられないよ、、、」

「なんで?」

啓太は分かっていて問いかけた。

「こんなの初めてだもん。もうこの先の人生でこれを超えるなんて想像できない。」

「それは困ったね。」

「責任取ってよ。」

女はいたずらに笑いながら言った。

その表情には「1番じゃなくて良いから捨てないで」という寂しさが伺えた。

「責任は取れないよ。」

「分かってる。もうわがまま言わないから。」

「それならね。」

啓太は女に優しくキスをした。

「あ、、、」

腰に腕を回し、背中から胸へと手を走らせた。

まるで赤ちゃんを触るように大事に優しく手を這わす。

「もう、、、無理だよ、、、」

手の動きと連動するように女は体をビクつかせた。

「そんな可愛い反応されたら2回戦するに決まってるじゃん。」

耳元で囁くと女の顔は、嬉しさと困った表情を混合させた。

これは啓太のルーティーンだった。

2回戦に突入する気は無いが、いつもこうやって困った表情をさせるのが好きだった。

「じゃあ今日は我慢してあげる!」

啓太は女のオデコにキスをした。

これが終わりの合図だった。