「ねえ啓太、聞いてるの!」

バスタオルを胸元で縛り、華奢な腕で腕組みをした上には風船のように膨らんだ胸が強調された。

「何が?」

啓太は煙たそうにタバコに火をつけた。

キィンと甲高いジッポの音が部屋に響いた。

この音が好きで啓太は長い事ジッポを愛用している。

「何がじゃないわよ!この前一緒に歩いてた女は誰よ!」

啓太は「フーッ」と煙を吐き出した。

モクモクと煙が天井へと吸い上げられて行く。

見上げると半裸の自分と目があった。

天井、壁、床、様々な所に設置された鏡。

スケルトンになっている浴室。

啓太はこの趣向が気に入っていた。

「嫌なら別れよう。」

「え?」

唐突な啓太の言葉に女は言葉を失った。

「別に女は君だけじゃない。それに愛人に1番も2番もない。」

「なにそれ、、、浮気だよ。」

「ふっ。面白いことを言うね。浮気の浮気ってこと?」

啓太は微笑した。

「嫌だよ。別れたくない。」

「無理だよ。大人の関係になれないなら意味がないよ。」

「我慢する。大丈夫。」

「我慢してる時点で無理が生じるから。」

「嫌だよ。」

女はバスタオルを外した。

寄せ上げられた胸が一気にバウンドする。

まるで別の生き物のようだった。

女は啓太に抱きつき、キスをせがんだ。

「まだタバコ吸ってるから!」

「抱いて。」

啓太はグシャッとタバコを灰皿に潰した。

その流れで女を布団に押し倒した。

荒々しくキスをして女を抱いた。