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外は相変わらず暑くて少し歩くだけでも背中に汗が流れていく。


喫茶店の中では涼しそうにコーヒーを飲む人たちの姿が見えるけれど、小学生の実るにそんな金銭的な余裕はなかった。


かと言ってすぐに家に帰ることもできず、気がつけば駅前のゲームセンターまで来ていた。


ここは実がよく遊びに来る場所で、お金がなくても景品や人の遊んでいる姿を見るだけで十分に楽しむことができた。


店内へ続く自動ドアが開いた瞬間、騒音が流れ出してくる。


人によっては苦手がその音が、実は大好きだった。


いろいろなゲームの音が混ざり合って、景品が取れたときの音とか、ゲームに負けたときの音も混ざって、どんな遊びをしているのだろうと好奇心をくすぐられる。


そんなことをみんなに言ったら『実っぽくない』と笑われそうだから、絶対に言わないけれど。


そこでメンバー7人の顔を思い出して、怖い話を探している途中だったことを思い出した。


ついお菓子のユーフォーキャッチャーへと足が向き始めていたけれど、途中で方向転換をした。