話を終えた3人にだけ妙な変化が見られ始めた。


これはあの動画が嘘ではなかった可能性を示している。


このまま続けて大丈夫なのか、不安はあったけれど直人は真っ直ぐな目をしてもちろん続けると答えた。


それを見た瞬間、よし、じゃあ次は俺の番だと思ったんだ。


他のメンバーも本気だと思うけれど、言い出しっぺの直人はもっと本気だ。


あの動画を少しも疑っていない気がする。


そこまで真っ直ぐに信じているのなら、もう俺も都市伝説を疑う気はなかった。


「怖い話をひとつなんて、簡単だろ」


帰宅してリビングにカバンを乱暴に投げ出した実は、手も洗わずにキッチンへと向かった。


「あら、帰ってたの? ただいまくらい言いなさい」


夕飯の準備を始めていた母親はしかめっ面になって言う。


このくらいの小言は毎日のように言われているけれど、全然気にならなかった。


それよりももっと楽しいこと、興味があること、実にとって大切なことは山のようにある。


小さなことを気にしている余裕なんてなかった。


「なぁ、怖い話知らねぇ?」