「この街に関する怖い話でいいの？」


「うん」


「そうだなぁ、いくつかあるんだけどなぁ」


瑞穂は腕組みをして考え込む。


その目はキラキラと輝いていて、自分の知っている話ができる喜びを表現していた。


「どんなものでもいいよ。瑞穂が話せばどんなものでも怖くなると思うし」


美聡が以前学校のトイレに行けなくなったのは、瑞穂からトイレの花子さんの話を聞いたときだった。


その話はどこの学校でも伝わっているようなポピュラーなものだったが、瑞穂の話術ですっかり怯えさせられてしまったのだ。


その時のことを思い出しただけでも寒気がして、美聡は軽く身震いをした。


「じゃあ１つ目。こではこの学校に伝わっている怖い話なんだけど」