「い、行くの?」


「あぁ。だって、みんなに披露するときに実際に見てきた後と、見ていないときいとじゃ全然違うだろう?」


「そ、そうかな?」


「そうだって!」


剛は直人の手を掴んで強引に歩き出す。


直人はそれについていくしかなくなってしまった。


だって、自分から怖い話がないかと相談しておいて、ここで逃げるなんてかっこ悪い。


それに、剛が言っていた通りこの目で見てから話を披露したほうが、みんな信じてくれそうだ。


剛がきつく手を握ってくれているおかげで、駅に到着するまでには直人の鳥肌は収まっていた。


「ここだよ」


駅のお土産物売り場を抜けて更に奥へ入った先にロッカーが並ぶスペースがあった。


ここを利用しているのはほとんどが観光客たちなので、直人はあまり来たことのない場所だ。