「そうだけど……」


みんなの話のうまさを思い出して、また緊張感が増してきてしまった。


自分はあんなに上手に話すことはできないと思う。


「どうしても緊張するなら、目を閉じて話せばいい」


「え?」


「実は僕も途中から目を閉じて話してたんだ」


「そうだったっけ?」


そんなこと、全然気が付かなかった。


「意外と誰も気が付かないもんなんだよ。だから安心すればいいよ」


そっか、そんなもんなんだ。


そう思うとようやく少しだけ安心できた。


自分でも話ができそうな気がする。


「よし、じゃあ行こうか」


直人に促されて、アズサは公園へと移動を開始したのだった。