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剛の話を最後まで聞いた直人は背筋に寒いものが走るのを感じて、強く身震いをした。


夕方になってもまだ気温は全然下がっていないのに、やけに寒く感じられる。


「それ、本当の話?」


「言っただろ? 実際にあった怖い話だって」


剛に言われて直人は意味なく何度もツバを飲み込んだ。


今の話は本当だと信じている。


けれど心のどこかで剛の作り話であってほしいと願っている自分もいた。


「そのロッカーは今でも置かれてる」


「今でも!?」


直人はつい大きな声を上げてしまった。


ついさっき剛から聞いて頭の中だけで想像していた恐ろしいロッカーの映像が、よりリアルに脳裏に浮かんでくる。


「今からでも見に行ってみるか?」