その提案に驚いたのは実だった。


夏休みらしいことをするということは、夏休み中になにかするということだと思いこんでいた。


だけどふと空を見上げてみると真っ青で大きな入道雲が流れている。


気温も高くて、休みじゃなくても十分に夏になっていた。


「学校に行きながらだとなにをするのか限られてくるぞ」


そう言ったのは和輝だ。


和輝は夏になると毎年海へ行くらしく、年中日焼けしている。


黒い肌の理由を自慢気に語るのが好きだった。


「そうよね。門限もあるし、遊べる時間は少ないわよ」


真紀があまり感情が読めないような声色で言う。


しかし、その質問を待っていましたとばかりに直人は微笑んだ。


「そうなんだけど、ちょっとおもしろそうな話があるんだ」


「おもしろそうな話?」


身を乗り出して聞き返したのは浩だ。


この8人の中では一番体が小さくて、優しい子だ。


直人、アズサ、セナ、実、美聡、和輝、真紀、浩。


これが、いつものメンバーだった。