そして、スーパーで俊明に伝えたのと同じように、怖い話を探していることを伝えた。


その途端、おばさんの顔がパァッと明るくなった。


浩の手を両手でギュッと握りしめて「まぁまぁまぁ、そうなの!? やっぱり、血は争えないのねぇ!」と、興奮状態だ。


一体なんのことかと思って俊明へ助けの視線を向ける。


「お袋は20代のことカイダン師をしてたんだ。有名なところで言えば稲川淳二さんとかだな。ああいうのを仕事としてやってた」


「え!?」


それは初耳だった。


大人たちに怖い話について質問をすれば、必ずと言っていいほど顔をしかめられる。


怖い話は悪いものだと言われて、子供からは遠ざけられる。


遠ざけられるからこそ更に知りたいと願ってしまう。


そんなものだと思っていたので、おばさんがカイダン師であり、怖い話を進んで教えてくれるなんて考えてもいなかった。