エプロンで手を拭きながら出てきたおばさんはまず俊明を見て眉間に眉を寄せ、浩を見て笑顔になった。


「こんにちは」


浩は丁寧に頭を下げる。


「こんにちは浩ちゃん。さぁ上がって、うちでご飯食べていく?」


「ご飯はいいよ。浩の家でもちゃんと用意されてるんだから」


リビングに通されてテーブルの前に座ると、ご飯の変わりにリンゴを剥いて差し出された。


俊明を育てたおばさんは男の子を見ると自分の子供のように可愛く見えるらしい。


血の繋がりがある浩のことは特に可愛がってくれていた。


「俊明にも浩ちゃんみたいに可愛い頃があったのよ」


お茶を飲みながら昔話しに花を咲かせようとするおばさんに、俊明が「今日は浩からお袋に相談があって来たんだ」と、伝えた。


「あら、相談ってなに?」


俊明に促されて居住まいを正す。