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俊明につれられてきたのは平屋の一軒家だった。


駐車場には白い軽の自動車が止まっていて、中から夕飯を作っている音が聞こえてくる。


おばさんにはお盆やお正月に必ず会っているけれど、こうして家に来るのは初めてのことで少し緊張してしまう。


「お袋、ちょっといいか」


チャイムもおさずに堂々と玄関を開けて中へ声をかける俊明。


浩は慌ててその後から玄関へ入った。


玄関の右手には大きな下駄箱があり、その上には沢山の置物が置かれている。


よくよく見ると干支の置物が多いみたいだ。


ちりめんという布素材で作られた愛らしいものが多くて、ちょっと不安が消えた。


「なによ俊明、連絡もなしに来て。あら浩ちゃん、一緒に来てたの?」