自分の父親によく似た剛の父親。


自分の母親よりも少しおっとりしたせいかくの母親。


あの2人は剛の野球の試合には必ず来ていたし、野球を反対しているようには見えなかった。


「まぁ、俺の話はいいや。用事があって来たんだろ?」


仕切り直しのように聞かれて直人はすぐに返事ができなかった。


こんなときに怖い話を知っているかどうかなんて質問していいかどうかわからない。


うつむいてモゴモゴと口ごもっていると剛がニヤリと口角をあげて笑いかけてきた。


「さては、なにか良くないことでも考えてるな。またイタズラか?」


聞かれて直人はすぐに左右に首を振った。


「ち、違うよ! そうじゃなくてさ……」


「じゃあなんだよ? まさか好きな子ができた相談か?」


今度は目を輝かせて聞いてくる。


が、それも不正解だ。


「……都市伝説を試してみたいんだ」


少し迷ってから直人は言った。