そんなの嘘だ。


絶対に嘘。


死者はちゃんと天国に行っているはずで、この世にとどまっているはずがないじゃないか。


何度も自分にそう言い聞かせてきたけれど、話が終わるたびに感じる寒気や、話を終えた子たちが感じている異変を見るていると、これは冗談ではないかもしれないと思い始めていた。


そう思い始めると余計に怖い。


自分の番で止めることも、このまま続けて8つ目の怖い話を終わらせることも、怖い。


浩にとっては八方塞がりの状態だった。


「ただいまぁ」


落ち込んだ声で帰宅すると、すぐに母親がリビングから顔を出した。


「浩ちゃん、昨日もこの時間に帰ってきたけどなにをしているの?」


母親の心配そうな顔を見てドキリとしてしまう。


学校がある日と同じ時間に帰宅したことを不審に感じているみたいだ。


「友達と遊んでたんだよ」