そんな不安がよぎって胸の奥が冷たくなった。


自分にとって本はそれくらい大切で、身近な存在になっていたのだ。


本のない生活なんてもう真紀には考えられなかった。


「そんな顔しなくても大丈夫。形を変えても物語は残り続けるから」


それは電子書籍のことだろうか?


真紀はまだ電子書籍を読んだことがないから、ピンとこなかった。


本を手にとったときの重み、背表紙を見たときの本の厚み。


それらが確認できない世界なんて想像もできない。


ときには本が分厚すぎて読むのを諦めてしまうときもあるけれど、低学年のときに諦めた本を今は読むことができるようになっている。


そういう喜びもあった。


「都市伝説もそうよね」


途端に出てきた言葉に真紀は「え?」と首をかしげた。


「都市伝説も昔と今では少しずつ形が変わってるでしょう? そうやって残り続けていくのよね」