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翌日から真紀は昼休憩の時間を使って図書室で怖い話を調べはじめた。


ただの怖い話じゃない。


この街の郷土資料コーナーの本を読んで、それらしい記事を探すのだ。


長い歴史の中では様々な怖いことが起きてる。


自然災害や大火事、殺人事件や誘拐事件も計り知れない。


だけど違うのだ。


直人やセナが話してくれたのはこういう話じゃない。


もっと身近で、だけどみんなが知らない街の話。


「図書室で調べるのは限界なのかな……」


分厚い郷土資料の本を半分ほど読みすすめたところで大きなため息をついて本を閉じた。


目の奥が疲れて重たい感じがする。


上を向いて目を閉じ、目頭を指でグッと押して見ると心地よい刺激が走る。


しばらくそうやって眼精疲労を和らげているとふと人の気配がして目を開けた。


「あっ」


近くに立っていた人物に思わず声を漏らす。


「こんにちは、また会ったね」


江藤さんはそう言って微笑んだのだった。