実と巡った怖い話ツアーは最初のロッカー以外はすべて不発で終わってしまった。


詳しい場所も被害者の名前もわからないままやみくもに探していたのだから、当然の結果だった。


それに、ロッカーでの出来事だけでもう十分だった。


あんなに怖い経験をするのはこれで最初で最後にしたい。


それから実と時間を潰してから、いつもの公園にやってきた。


放課後になる時間を待っていると1人2人といつものメンバーが集まってくる。


学校が休みだからという理由で参加しないメンバーは誰もいなかった。


みんなそのくらいこの都市伝説を気にかけているということみたいだ。


「今日はすっげーことがあったんだ! なぁ和輝!」


他のメンバーが全員集まったところで実が大きな声を上げた。


バンバンと肩を叩かれて渋々頷く。