「今までの怖い話って、全部この街で起こった実際の事件だろ? だから今日はその事件現場めぐりをしようと思ってるんだ!」


堂々と発言する実に、勝手に一人でやってくれと言いたくなる。


その気持をグッと押し込めて苦笑いを浮かべた。


「でも、今日はオレが話をする番なんだぞ? それなのにホラースポットめぐりなんてさ……」


「だからこそだろ!? 実際に怖いものをその目で見たほうが、絶対にうまく話せるって! それに、面白い話を聞く機会ができるかもしれねぇし!」


やんわり断ろうとしたけれどダメだった。


強引に肩を掴まれた状態でずんずん駅の中へと歩いて行ってしまう。


和輝は諦めて大きなため息を吐き出したのだった。