隣の家は直人と同じ浅野という表札をかけているから、偶然ここを通りかかった人でも親戚同士だとすぐにわかる。


わかりやすい反面、直人の友人が間違えてイトコの剛の家を訪ねてしまったり、逆に剛の友人が直人の家を訪ねてしまったりということは日常的にあった。


そういうことが続くと自然と違いの友人たちとも仲良くなっていって、大人数で遊びに出かけることも少なくなかった。


そんなイトコは直人からしたらよき相談相手で、なんでも話すことができる存在だった。


「剛兄ちゃんいる?」


直人は玄関横を通り抜けて庭へ向かい、大きな窓へ向けて声をかけた。


ここが剛の部屋なのだ。