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再び実からの連絡が入ったのは翌日の昼間だった。


母親が用意して行ってくれたチャーハンを食べ終えて、昨日聞いた怖い話を練習していたときだった。


「もしもし?」


『よぉ和輝。調子はどうだ?』


やけに明るい声が聞こえてきて一旦受話器を遠ざけた。


どこにいるのか、電話の奥からは喧騒が聞こえてくる。


「別に、いつも通りだけど」


『今駅にいるんだ、遊びに来ないか?』


その誘いを一瞬断ろうかと思った。


これから夕方にかけて怖い話の練習をするつもりでいたのだ。


でも、口を開きかけた瞬間気が変わった。


少しは気分転換をしたほうが、上手に話せるかもしれない。