さっきまでの心配顔はどこかへ消えている。


そのタイミングでお弁当が温まったので、そのままリビングのテーブルで食べることにしたようだ。


2人でテレビを見ながら、会社での出来事、学校での出来事を話す。


その何気ない時間がとても大切だった。


「そういえば、この街にまつわる怖い話とか知らない?」


テレビ番組がCMに入ったところで和輝はそう質問をした。


母親からなにか聞き出すことができるとは思えないけれど、明日のためにも少しでも情報が必要だった。


このままなにも収穫がなければ、自分のところで都市伝説を止めてしまうことになるんだから。


和輝は実からの電話を思い出して焦る気持ちがあった。


「怖い話?」


母親は一瞬顔をしかめたが、すぐに何かを思い出したように少しだけ目を見開いた。


和輝はそれを見逃さなかった。